南塾第14回公演『飛龍伝』を観劇

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久方ぶりのブログ更新です、今日は曙橋まで観劇に行ってきました。
観劇した作品は介護に来てくださるヘルパーの太田さんが出演される『飛龍伝』です。

太田さんは役者をされており今作では準主役を務められてるとのこと。
普段では目にしない役者としての様々な面を魅せつけてくれました。彼をはじめヒロインの佐藤美樹さんを取り巻く個性的な役者の皆さんの演技は学生運動の只中を駆け抜けた人物群をありありと感じさせてくれました。

ストーリーは70年代の安保闘争を舞台にした学生運動派閥と機動隊の男女の青春の物語です。主人公は四国より上京した東大生の神林美智子。学生運動で吹き荒れる大学生活で彼女は全共闘闘士の桂木との出会いをきっかけに全共闘40万の委員長に指名される。そして学生運動に明け暮れる日々、機動隊長・山崎と出会い惹かれながらも機動隊の計画をスパイするために恋人として近づくことに。 。。

といったもので、舞台はコロナ禍のなかで最善の配慮を尽くしての開演となりましたが、それをものともしないほど濃密な世界観を繰り広げられました。本当は観劇前に原作を読んでおきたかったのですが、今日持ち帰った熱感を記憶におさらいしてみようと思います。

原作の小説と舞台ではもしかしたら時間の尺の都合で描ききれない場面があったかもしれませんが、70年代の安保理闘争に身を投じた人々の感情そのものが作品の伝えたかったテーマなのかなと感じました。

また、それとは別に作中で度々でてくる『革命』と言う言葉に色々思うところがありました。

まだ安保闘争やその周辺についてきちんと調べていないので断定するような物言いはしたくないのですが、安保闘争を思い返す時、そこで確かに身を投じた人たちは『革命』という呪いに焦がされた青春を背負っているように思えてなりません。

革命を声高に叫ぶ若者たちは果たしてどの程度の具体的なビジョンを描いていたのか。40代後厄のおじさんになった私はふと考えます。

思想や主義主張の相違を革命で解決するなら大抵は国家を転覆するしかありません。つまりクーデターです。成功させるためには政治と軍事とメディアを一気に抑えることが理想的ですがそれが叶わぬなら泥沼のような地下活動を続けていくしかありません。
一気に決起したとしても外国なら軍隊が出てきてひどければ天安門事件のような一方的な殺戮が繰り広げられます。

基本、国に喧嘩売ったら負けます。

デモを起こす方が愚かしい選択だったとは言いませんが、もっと別の見方を気づかせるようないい大人が彼等のそばにいなかったのかと思えてなりませんでした。

また、日本では軍による武力衝突こそしませんでしたが、そこにはまだ同じ国民同士という隣人意識もあったことをなんとなく聞いた事がありました。事実、当初はデモの衝突で川に落ちた人間をどちらかまわず助けているという場面もあったそうです。
飛龍伝では革命闘志となるヒロインが革命組織の参謀の恋人でありながら機動隊隊長に惹かれる心を押し殺してスパイ活動を行う悲恋を主に描いていますが、参謀と隊長は同じ上京組で気のおけない友達でもあった事が描かれていたり、あの当時、相手を憎みきれない繋がりが確かにあったんだとあらためて思いました。

史実では東峰十字路事件で起きた機動隊の殺害を契機に国と学生運動の戦いは激化していくわけですが、どちらであれ人は仲間を傷つけられたり失うと『あいつの死はなんだったんだ』と心情的には拭えない遺恨が残ります。
おそらく黒か白のどちらかしか許せなくなる因縁を持つことになるのでしょう。引くに引けない決断と行動も人間社会の大切な営みの一つですが、私たちは同じ国民同士で一度きりの人生を若くして傷つけ合った事実を思い返した方がいいのかもしれません。
特に今はコロナ禍で先行き不安な日々です。さまざまな考えを持つ者同士が向き合うためにも『繋がり』はより重要なんだと教えられた気がしました。

今回の行った場所、会った人

太田 了輔さんのtwitter
いろんな引き出しを持っていそうなポテンシャルが計り知れない役者さんです。
南塾
劇団ZAPPA・南利寛氏が発足された若手育成チームです。太田了輔さんも所属されています。
studo ZAP(小劇場ホール)
新型コロナウイルス対策のガイドラインも備えた小劇場ホールです。
東峰十字路事件
「飛龍伝」とは関係がありませんが学生運動との闘争で非業の死を遂げられた機動隊の方たちについての事件です。彼らの碑はなにもない簡素な道端に今もあります。

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